J-PARCハドロン実験施設における事故について (KEK 機構長 鈴木厚人)



技術設計報告書公開 ~ ILC計画 次のステップへ~

ILC通信 70号pdf

アジア会場で、LCC ディレクター リン・エバンス氏(右)に完成した技術設計報告書を 手渡す、
LCB 議長 駒宮幸男氏(左)。

 6月12日(水)、東京大学山上会館(東京都文京区)で「国際リニアコライダーワールドワイドイベント ~設計から実現へ~」が開催された。これまで国際リニアコライダー(ILC)の研究開発に関わった世界の研究者、エンジニア、産業界が参加してILCの技術設計報告書(Technical Design Report、TDR)の完成・公開を機に、世界の3地域(アジア、欧州、北米)の会場で同日に祝賀会を開催したもの。3地域には時差があるため、アジア会場である日本から欧州会場のスイス、最後に北米会場のシカゴの順番で実施された。この祝賀会をもって、これまでILC の研究開発を進めて来た2つの国際組織、国際共同設計チーム(GDE)と実験管理国際組織(RD)から、2013年2月に発足した新組織リニアコライダー・コラボレーション(LCC)へと活動が完全に引き継がれた。

 イベントはアジア会場である山上会館からスタート。会場には、LCC のディレクターを務めるリン・エバンス氏、LCC の監督組織であるリニアコライダー国際推進委員会(LCB)の駒宮幸男議長、そしてLCC の副ディレクターを務める村山斉氏が参加し、講演を行った。

 駒宮氏は、昨年7月に欧州合同原子核研究機関(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)によるヒッグス粒子の発見を「7月革命」と例え、「これからの研究の進展が非常に楽しみです。それに必要となるのがILC」と語った。エバンス氏は、そのLHC の加速器建設を率いたプロジェクトマネジャーを務めていた。LHC 加速器やその測定器を作り上げるにあたり、日本の研究者、エンジニアや企業が大きく貢献した。エバンス氏は「私は日本人の力量には、常に感銘を受けてきました。日本は非常に信頼されている国です。」と述べ、ILC の日本建設への期待を語った。村山氏は、ヒッグス研究等、ILC で研究が進むことが期待される物理学について解説。「学生の時には不可能だと思っていたILC の技術が今実現しようとしている。非常に感動しています」と語った。

 また、韓国、中国、インド、日本の研究者の代表も、来賓挨拶を行った。韓国からは、ドン・チュルソン慶北大学教授・高エネルギー物理学研究センター前所長が来日して会場で挨拶。中国の王 芳 中国科学院高能物理研究所所長と、インドのアミット・ロイ大学連携加速器センター所長が、インターネットを通じて挨拶した。また、日本の研究者代表として挨拶を行った、ILC 戦略会議の議長を務める山下了東京大学准教授は「みんなでILC を実現させましょう」と会場に呼びかけた。

 アジア会場のイベントの最後には、本イベントの実施委員会の共同委員長を務めた山本均LCC 物理・測定器担当ディレクター から、スイス・ジュネーブのCERN の欧州会場に向けてバトンを投げる「バーチャルなバトンタッチ」が行われ、会場は笑いに包まれた。欧州会場から、さらに米国のフェルミ国立加速器研究所(Fermilab)の北米会場へと引き継がれ、GDE のディレクター、バリー・バリッシュ氏から、将来加速器国際委員会(ICFA)のピア・オドーネ議長へと設計書が手渡され、イベントが締めくくられた。各地域では、シンポジウム、一般講演会、レセプションなど、趣向を凝らした様々な報告書完成記念イベントが実施 され、参加した研究者、関係者がこれまでの研究開発の成果を祝った。それぞれの地域のイベントをまとめた動画が、LCC の ホームページで視聴できる。(http://newsline.linearcollider.org/2013/06/27/good-things-come-in-threes/

日本会場から、欧州会場のブライアン・フォスター氏(大きい方のスクリーン中央)に向かってバトンを投げる、
LCC 物理・測定器担当ディレクター 山本均氏(マイクを持っている)。











欧州会場で、GDE 欧州地域ディレクター ブライアン・フォスター氏 (右) から
TDR を受け取る、ICFA のメンバーロルフ・ホイヤー氏 (左)。 画像:CERN。

 技術設計報告書(TDR)は、ILC の中心技術が確立し、加速器の建設準備が次のステップに進める段階に到達したことを示すもの。5 冊組の構成となっており、第1 巻はエグゼクティブ・サマリー(概要)、第2 巻はILC における物理、第3 巻は上下巻になっており、加速器の研究開発と設計、第4 巻は測定器の設計についてまとめている。TDR は、LCCのウェブサイトからダウンロード可能 (英文のみ) http://www.linearcollider.org/ILC/Publications/Technical-Design-Report )。

北米会場で、ICFA 議長のピア・オドーネ氏 (右) に TDR を手渡す、
GDE ディレクター バリー・バリッシュ氏( 左)。画像 Cindy Arnold, Fermilab.
















お知らせ
KEK 一般公開

昨年の一般公開の様子。
(上左)STF、(上右)ATF。
昨年は、STF、ATF、パネル展示を回った方を対象に、缶バッジなどが当たるガチャガチャを実施した。左は、昨年の缶バッジ。

普段は公開されていない実験装置・施設の見学や、研究者による講演、おもしろ物理教室など楽しい企画をご用意しています。リニアコライダー関係では、先端加速器試験施設(ATF)、超伝導RF 試験施設(STF)の施設公開、研究本館でのパネル展示を予定しています。今年も引き続き、STF、ATF、研究本館の3 か所を回った方を対象に、缶バッジなどが当たるガチャガチャを実施予定です。みなさまのお越しをお待ちしております。
詳細については決まり次第、KEK 一般公開ウェブページに掲載されるほか、ILC 通信ウェブページ、facebook、twitter などでお知らせいたします。


お知らせ
ILC プロジェクトホームページにILC の「よくある質問」コーナー新設

 ILC プロジェクトホームページ(http://aaa-sentan.org/ILC/)に「よくある質問」のコーナーを新設しました。「よくある質問」コーナーは、過去にお寄せいただいたご質問やお問い合わせをもとに作成しました。どうぞご利用ください。 http://aaa-sentan.org/ILC/about-ilc/faq/


編集部より

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